
まずは赤線部分に注目してください。
リアタイヤの接地面で発生した制動力はリアアクスルからスイングアームへ入り、ほぼそのままスイングアームを回そうとする力になります。するとスイングアームはピボットを支点に回転しようとし、その反力でリアサスを縮める方向に働きます。

ポイントは、『スイングアームのタレ角』でして。極端な例ですが、もしスイングアームのタレ角が90度のバイクだとリアサスが縮む力が働くのが感覚的に伝わりやすいと思います。
逆にスイングアームが地面と平行の場合は、リアブレーキをかけてもリアサスに縮ませる力は発生しません。
『しかし現実は、そうはならない』

一般的な市販バイクのスイングアームは、多くても15度程度しかタレ角がありません。そのため現実には、リアブレーキだけで減速したとしても、慣性によって車体の重心は前へ移動します。
その結果、リア側の荷重が抜けてリアサスはバネの反発力に負けて、伸びる方向へ動きます。

しかし、それでもリアサスを縮める方向に力が働いている分、フロントブレーキだけで減速する場合と比べると、リアブレーキを使った方がリアサスの伸びる量を抑えられます。
スポーツバイクのように、いかに短い距離で止まれるかが重要な車両では、リアをできるだけ低い位置に留め、ノーズダイブを穏やかにする狙いから、スイングアームのタレ角は大きめになる傾向があります。
(注:それだけが理由じゃないですよ)
『レーサー系の人が、リアサスが縮むと言う理由』

彼らはリアサスの動きを、絶対評価ではなく相対評価で話しているのだと思います。
つまり、リアブレーキなしで減速した場合と、リアブレーキを使って減速した場合を比べているわけです。
映像や計測器で確認すれば、リアサスそのものは伸びていることが分かります。しかし、前述したとおりリアブレーキを使うとリアサスの伸びる量が少なくなります。
そのため、ライダーが感じる車体姿勢としては、リア側が低い位置に残り、リアサスが縮んだように感じます。
筆者もサーキットをレーシングスピードで走行し、リアブレーキを使ってブレーキングすると、感覚的にはリアサスが縮んだように感じます。
この体感の違いが、レーサー系の人が「リアサスが縮む」と表現する理由のひとつだと思います。

彼らはライディングのプロであって、言語化のプロではありません。感覚的なニュアンスをそのまま言葉にした結果、厳密には少し誤解を招く表現になることもありますが、それは仕方のない話やと思います。
それを鬼の首を取ったように揚げ足を取るのも、ナンセンスやと僕は思う(´-ω-`)
『筆者情報』

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