『エンジンオイルのグループの解説日記に戻る』

なんとなく、バイク乗りなら一度は耳にしたことがあるはずです。
エンジンオイルは「エステルが最強」だと。
それ自体は、まぁだいたい正しいです。
しかし、さらに深掘りすると・・・エステルの中にも明確なグレード差が存在しています。
当然ながら性能差は確実にあり、ある程度の順位付けは可能です。そこで今回は、エステルの種類ごとに性能を分解し、ランキング形式でまとめました。
ちなみに高性能なエステルほど価格も高くなる傾向がありまして、製品価格からある程度どのクラスのエステルが使われているか推測することが可能ですので、参考価格も記載しとくよ。
(まぁこれは販売メーカーの姿勢次第ですがねww)
4位:ジエステル(Diester)

(凄まじく高価な添加剤が入ってるパターンがあり、価格はバラバラです)
1日で交換するタイプのレーシングオイルによく採用されるエステルです。潤滑性能そのものは高いものの、ジエステルは吸湿性が高く、加水分解に弱いという致命的な弱点があります。
ガレージで保管しているだけでも湿気の影響を受けやすく、酸化安定性も高いとは言えません。シンプルに短命です。
さらに厄介なのが、ゴムやシール材への攻撃性が強い点でして、長期使用ではオイル漏れの原因にもなります。レースの世界では、どんなに長くても年1回のエンジンオーバーホールが当たり前なので問題にないですが、街乗りバイクでこれは嫌すぎます(笑)
要するに
ストリート主体のバイクには、まったく向きません。
余談ですが、写真の広島高潤 パンドラは、ミニバイクレースやJP250で勝つために開発された純レーシングオイルでして、寿命は1ヒート、つまり約30分で交換です。
レーシングオイルとはそれほどに短命なのさ(^^♪
3位:添加剤的エステル

(1ℓ/3000円以下)(ニューテックZZ-01の詳細記事)
ベースオイルとしてではなく、補助材として少量配合され、ベースオイルの性能を底上げするタイプのエステルです。代表的な5種類のみ例で挙げます。
脂肪酸エステル(摩擦低減)
金属吸着 極性が強く境界潤滑に効く。低粘度油で燃費改善用途に使われることも多い。
TMP系エステル(溶解補助)
安定化 添加剤の溶解性を高め、ブレンド全体のバランスを整える。中庸型。
PE系エステル(油膜強化)
高温安定性が高く、強い吸着性で油膜保持力を向上させる。レース系で多用。
分散剤系エステル(清浄強化)
スラッジ分散や酸化副生成物の保持。ベース油というより添加剤の一部。
PEG系エステル(特殊摩擦特性) 強い極性を持つが吸湿性あり。競技・特殊用途向け。
2位:コンプレックスエステル(改質エステル)

(1ℓ/3000円~5000円) (モチュール300Vを購入する)
複数種類のエステルを組み合わせ、 通常の街乗りバイクにも使用できるよう改良されたエステルオイルです。
(それでもPAOと比べて半分の寿命ですが・・・)
従来のエステルオイルが抱えていた最大の弱点である、加水分解による劣化リスクは大幅に改善されています。 そのため、公道使用にも十分耐えられる領域まで引き上げられています。
そのほかにもゴム・シール材への攻撃性を緩和もしてます。
ジエステルのようなレース専用の割り切り型から、 実用と性能を両立型へ進化したのがコンプレックスエステルです。
コンプレックスエステル系で最も有名なのは、やはりモチュール300Vですね。

『リキモリ/4T Synthの詳細記事』
ちなみにMT車のエンジンオイルは、モチュール300Vが最強と言う話はよく聞きますが、筆者の経験的に『リキモリ/4T Synth 5W-40 Street Race』のほうが、良いと思います。このオイルは2019年〜2023年の間、 Moto2およびMoto3で全車両への使用が義務付けられていた実績があり、極限環境での実戦データを持つオイルです。それをそのまま市販化という内容。更に寿命も長く交換サイクルはバイクメーカー指定のサイクルでOKです。寿命も性能の一部と考える筆者にとっては、これが最強のエンジンオイルです。
1位:ポリオールエステル(POE)

(1ℓ/5000円以上) (4CR-SRの詳細記事)
多価アルコール(ポリオール)と脂肪酸を反応させて作られる合成エステル系基油。現在“最強のエステル”と語られるのが、この**ポリオールエステル(POE)**でエステルの中でも頂点に位置する存在です。
その理由は明確でして・・・
・金属への強い吸着性
・境界潤滑域での優れた油膜保持力
・高い酸化安定性
・熱分解しにくい分子構造
・高温域での粘度維持力
・優れたせん断安定性
・添加剤を抱え込む高い溶解性
総合的に見て、極限環境で真価を発揮するベースオイルです。

筆者がスクーターレースをしていた頃に、もっともタイムが出せたエンジンオイルが、Wako’s 4CR-SR(ポリオールエステル主体)でした。しかも交換サイクルはバイクメーカー指定の範囲で問題なく使えて、フィーリングが気持ち良いので、ツーリング用のADV160にも使ってますよ。
4CR-SRは金に糸目をつけないなら、全てのスクーターに強くおすすめですよ。
(注:4CR-SRは湿式クラッチ車両では強いクラッチ滑りを起こす可能性が高く、湿式クラッチ搭載車には使用できません。)
『筆者情報』

名前:スコ太
年齢:おじさん
仕事:よくいる会社員
住所:大阪(枚方市)
バイク趣味は、ツーリングからスクーターレースまで、幅広く楽しんでます。なのでスポーツ走行から、快適装備やツーリングスポットの話までできます。なんなら通勤もバイクなので、バイクに乗らない日はありません(笑)。SNS(X)もしてるので、是非フォローやコメントをよろしくお願いします。

名前:あずみ
年齢:そいつは言えないなぁ
仕事:いわゆる事務職
住所:京都(八幡市)
趣味:グルメ旅行
堅実で普通な日々を大切にしつつ、時々取材に出かけて記事も執筆。
アイデア相談やリライトで協力しています。
少し陰キャで人見知りの内弁慶ですが( `・∀・´)ノヨロシク。

