サスペンションセッティングで最初にやる事は、プリロード調整です。
プリロード調整とは、サスペンションのバネを予め縮こませることでテンションをかけて、サスペンションの有効ストロークを最大限有効に使えるようにする作業です。基本にしてもっとも重要な作業で、この設定が決まっていないと、後に説明する減衰調整とか車高調整をしても、100パーセントの性能を引きだせなくなります。
最初に・・・
バイクメーカーの純正のセッティングは、バイクメーカーが莫大な時間をかけて検証に検証を重ねて決めているので、おお外しをしていませんが、不特定多数のライダーが色々な使用方法でバイクに乗る事を想定しているので、どうしても安全を考慮した設定になってます。それを自分に合ったセッティングにする事がプリロード調整の目的です。うまく決まると乗り心地が良くなったり、操縦性や安定感の改善が期待できます😃
『1Gストローク』と『プリロード』
プリロード調整は、バネの上に付いてるナットを緩めたり閉めたりして調整します。
カムの物とかダブルナットの物とか色々ありますが、視覚的にみて理解する事は、難しくないと思うので細かい固定方法の説明は、割愛します。
『1Gストローク』というのは、バイクが停止状態でどれだけサスペンションが沈んでいるかという意味で使われます。ライダーが乗車状態のストローク量の事を、『乗車1G』と言い、ライダーが乗車せずに空車でバイクの重みだけのサスペンションのストローク量を『空車1G』と言います。またセンタースタンドなどをかけてサスペンションが、無負荷状態で伸び切った状態を『0G』と言います。一般的に何も書かずに1Gストロークと言われれば乗車1Gのことを言っているという解釈で間違いないでしょう。
(以後は、当ブログも乗車1Gを1Gと略します)
何故この1Gストロークが重要かと言いますと、サスペンションの役割は、路面の凹凸があれば圧縮して衝撃を吸収するのが仕事なのは、なんとなく感覚でわかると思います。逆に凹凸などを通過して浮かび上がりそうなタイヤを、サスペンションが伸びる事によりタイヤが路面から離れないよう押し付ける役目もあります。1G状態でサスペンションを沈ませておけば凹凸を乗り越えても路面を追従性するようになります。1Gストロークがゼロの場合は、荷重が抜けた瞬間にタイヤが浮き上がり危険な状態になります。
またコーナーリング中のバイクのタイヤは、じつは大なり小なり横滑りしながら曲がっています。そこでサスペンションが伸びる事で路面をホールドし続けてくれてます。もしサスペンションが、コーナリング中に伸びきってしまえば、少しのきっかけでタイヤが路面から離れてしえば、転倒してしまいます。そんなわけでサスペンションは、縮む動きより伸びる動きの方が重要なのです。
ストローク量の計測方法
計測方法は、簡単でサスペンションにタイラップを巻いたりグリスを付けたりして、バイクに跨がった後に降りてセンタースタンドをかけるだけです。これでどのくらいサスペンションが、縮んでいるかを確認する事ができます。もちろん1Gだけじゃなく走行時の最大ストローク量も知ることができるので、覚えておきましょう。
複合レートスプリング
純正バイクのリアサスや社外品のリアサスにデフォルトで装着されている事が多い複合レートスプリングですね。複合レートスプリングは、可能な限り柔らかい部分のストロークを使えるように調整するのが、美味しい調整と筆者は考えています。なので調整方法は、想定されるシチュエーションで最大荷重が載った時に、残ストロークが総ストローク量の10%くらい残しるように調整すると良い感じになります。調整の仕方は、二人乗りをするなら二人乗りで、一人しか乗る予定がないなら一人乗りでやるのが望ましいです。プリロードは、強めから少しづつ弱めていく方が底付きをしてサスペンションにダメージを与えないので良いですよ。注意点は二人乗りで調整して一人乗りの1Gストロークがまったく動かない場合は、バネが設計の許容範囲を超えて合っていないので、交換が必要になります。
シングルレートスプリング
シングルレートのスプリングは、基本的にスポーツ走行向けで、サスペンションに装着されている事が多く、やや玄人向きなスプリングです。シングルレートスプリングの調整は、1Gストロークをリアサスの総ストローク量の20~30パーセントくらいに調整する事から始めます。しかしそれだと段差やコーナリング中に底つきをしてしまう場合などは、バネ交換となります。またピッチングモーションが十分と感じたなら、そこまでサスペンションのフルストロークさせることには、こだわらなくて良いです、車体の前後の姿勢は、基本的には車高調整で決めて行くのがセオリーですが、車高調性機能がないサスペンションの場合は、プリロードでも気持ち程度の微調整ならありです。
理想を追求するならバネの交換は、必須
残念ながら純正に限らずオーリンズだろうがナイトロンだろうが、ほとんどのリアサスペンションは、万人が使えることを想定して、吊るしの状態で個人にジャストフィットすることは、なかなかに難しいです。自分に合った最高を手に入れたいならバネの交換が必須になります。レース屋さんやカスタムショップに相談すると車種とかライダーの体重、ライディングテクニック乗り方などのを考慮して最適なバネを選んでくれるので、是非一度相談に行ってみてください。筆者も凝り性なので写真のように沢山のバネを使ってみて理想を追求しております。