『ADV160タイヤまとめ記事に戻る』
ADV160に適合するハイグリップタイヤは「存在しない」と思っていましたが、調べてみると ピレリからディアブロ ロッソ スクーターSC(以後ロッソスクーター)というタイヤが、フロントのみADV160に適合するサイズがラインナップしてました。
いわゆる カーボンブラック系コンパウンドを使ったサーキット向けのハイグリップタイヤ で、ツーリングユースのADV160に装着しても、正直オーバースペックで意味がないのでオススメしませんが・・・
まぁネタとして面白いので、本日はその話をしますww。
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DIABLO ROSSO SCOOTER SC 110/80-14
ADV160フロント(楽天)

レビューですが今回は タイヤ性能そのものを比較することが目的なので、他メーカーと公平な条件で評価した方が 読者も面白いと思うので、小排気量ハイグリップタイヤの中でも最もラインナップが充実し、各メーカーが本気で開発を行っている12インチサイズを採用し、12インチ車両を用いて比較テストを実施しました。

ちなみに12インチが激戦区とされる理由は、ハイグリップタイヤの主要市場である ミニバイクレース(NSF・グロム・シグナスなど)で12インチ車両が主流 であり、各メーカーが技術を投入しやすい土壌が整っているためです。
この環境で比較することで、ロッソスクーターがハイグリップタイヤ群の中でどの位置にあるのか、その性能の「格」や「方向性」まで明確に見えてきます。
『ロッソスクーターの性能』

ロッソスクーターの特徴としては、タイヤ剛性が高く、コンパウンドも硬めである点が挙げられます。
その特性ゆえに、他のハイグリップタイヤと比較して温度が下がった際のグリップ低下が極端で、特に冬場は“危険なレベル”まで落ち込みます。
一方、温まった状態でのグリップはMBR750と同程度で、CSTタイヤなどの“レースで勝つためだけに作られたタイヤ”と比較すると明確に劣ります。
ちなみにMBR750は冷間時のグリップも常識的な範囲で確保されていることを考えると、
ロッソスクーターは正直「いいとこ無し」です(笑)
まぁADV160にはサイズ的にロッソスクーターしかハイグリップタイヤの選択肢がないので、いい事無しでも受け入れるしかないのですがww
『カーボンブラックコンパウンド』

ピレリの公式ホームページのロッソスクーターの説明文で『フルカーボンブラックレーシングコンパウンドを採用』
…と、なんだか“すんげぇ効能がありそうな”触れ込みが並んでいますが・・・
そもそも この日記を読んでる読者は、
「カーボンブラックコンパウンドって何?」
って話ですよね。

一般的にハイグリップタイヤは、ピレリに限らず、カーボンブラック主体のコンパウンドを採用しています。カーボンブラックは、発熱すると摩擦係数が上がる特性を持っており、タイヤが十分に温まった状態で最大のグリップを発揮する素材です。

レーシングマシンのタイヤが、走行後にドロドロに溶けたような状態になるのを、見たことがある人も多いと思います。あれは単に激しい走行だけが原因ではなく、タイヤそのものの素材が違うことによる現象です。カーボンブラックコンパウンドは、素人に毛が生えた程度の走行レベルでも、条件が揃えば写真のようなトレッド面が溶けたような状態になり、この溶けたトレッド表面は非常に粘着性が高く、それこそがハイグリップタイヤが“吸い付くようなグリップ”を発揮する正体です。
一方で、熱が十分に入らない状態では、プラスチックのように硬くなり、極端にグリップしなくなる
という性質も併せ持っています。
一方、ツーリングタイヤで主流となっているシリカコンパウンドは、
低温域でもグリップと耐摩耗性を安定させやすい構造になっています。
そのため、冬場や街乗り中心の使い方では、シリカコンパウンドのほうが有利になります。
『雑にまとめると・・・』
・ハイグリップタイヤは、ゴムも粘着力でグリップする。
・ツーリングタイヤは、ゴムの弾力でグリップ力を発揮する。
ってことです。
『フロントのみハイグリップタイヤって意味あるの?』

この項目はちょっとマニアックな話になります。
ADV160は前上がりの車体姿勢に加え、スクーター特有の後方エンジンレイアウトの影響で、フロントへ荷重が乗りにくいという弱点があります。ジムカーナのような極低速・急旋回では、進入時に作ったフロント荷重をそのまま維持できるため、この弱点はあまり表面化しません。
しかし、峠道のような中速以上の長いコーナーでは、車体を長時間バンクさせるため、フロント荷重不足による顕著に出やすくなります。
ここで効いてくるのがタイヤの特性で、ハイグリップタイヤは ツーリングタイヤより低い荷重でもグリップ力を発揮するため、中速以上のコーナーで安定感が大きく向上します。
それでも、車体側でフロント荷重を増やす方向の改造を行えば、さらに運動性能を引き上げることが可能です。次項では、その具体的な方法について解説していきます。
フロント荷重を増やす改造

『ギアーズサスペンション詳細記事』
フロント荷重を増やす一般的な手法としては、フロントフォークの突き出し量を増やすのがセオリーです。しかしADV160でこれを行うと、コーナリング中にアンダーカウルが地面に擦りやすくなるため、採用できません。
次の手段として リアサスの全長を伸ばす方法がありますが、ただでさえ悪い足つきがさらに悪化するので、これも現実的ではありません。
そこでワテクシが考える最適解は、リアサスペンションの変更でストローク量を減らすことです。
手段としては、純正オプションのギアーズサスペンションがそれに該当します。純正のストローク量が100mmなのに対し、ギアーズは85mmと短め。さらにバネレートもやや高いので、コーナリング中にリアが過度に沈まないので、前下がりの車体姿勢をキープしやすくなります。
結果、フロント荷重が安定して挙動が大きく改善します。
ADV160のスポーツ走行性能を上げたい方には、ギアーズサスペンションは非常におすすめの選択肢ですよ。
『バンク角をアップさせる改造』

まぁせっかくハイグリップタイヤを履いても、基本的にバンク角が少ないと折角のグリップ力も宝の持ち腐れなので
『リアタイヤのサイズアップ』

『タイヤサイズアップの詳細記事』
リアタイヤのサイズアップは、スクーターのバンク角を確保するための定番改造で、スクーターレースの世界では、全車両がサイズアップを採用しているほどの常識になっています。その理由は単純で、サイズアップによってコーナリング中のクランクケースの接地を大幅に改善できるからです。
弱点としては、車高が約5mmほど上がるため、足つきが若干悪くなります。
しかし、ADV160のスポーツ性能を向上させたいなら、これは鉄板の改造と言っていいでしょう。
詳細記事では、サイズアップで おすすめのタイヤ銘柄・具体的なサイズ・そう選ぶ明確な根拠まで整理して解説しておきます。
『センタースタンドのゴムブッシュ加工』

『ブッシュ加工の詳細記事』
赤線の位置を見てもらえば分かるように、クランクケースより先にセンタースタンドが地面へ接地してしまうのが確認できると思います。このスタンド位置がもう少し高くなれば、クランクケースが接地するまでのバンク角をしっかり確保できます。

そこでセンタースタンドのブッシュ加工を行うと、
スタンドの足が上方向へ移動し、赤線の内側に完全に収まるようになります。
その結果、センタースタンドを付けたままでも、スタンド無しと同等のバンク角を確保できます。
そしてブッシュ加工は、カッターナイフだけでできるので実質“無料”です。
『ツーリングタイヤでも、空気圧調整で十分グリップ力が上がる』

『ADV160空気圧調整 詳細記事』
最後に、ハイグリップタイヤへ交換する前に1つだけ伝えたいことがあります。
実は、ハイグリップタイヤじゃなくても、ツーリングタイヤで空気圧をスポーツ走行向けに調整すれば、グリップは十分出ます。
具体的には膝を擦るようなレベルで走っても破綻しないくらいには粘ります。
といいますのも
ADV160の純正指定空気圧は、前輪200kPa/後輪225kPaと高めでして、これはどちらかというと燃費寄りの設定で、グリップ最優先の数値ではありません。
そこでスポーツ走行向けに空気圧を少し低めに調整すると、タイヤが荷重で変形しやすくなって接地面が増えてグリップ力が向上して、路面追従性も上がります。正直ストリートならこれ以上いらないだろってレベルまでいけます。
ハイグリップタイヤって、競技で0.1秒を削る走りをする人向けのタイヤです。普通に公道を気持ちよく走るだけなら、まず空気圧調整をしてみてください。
ちなみに空気圧って、やり方を知ってるだけで体感がガラッと変わるわりに、誰もちゃんと説明してくれないんですよね。なので詳細記事では、
・最もスポーツ走行に適した空気圧
・下げても問題のない安全な空気圧の範囲
・空気圧を下げることで生じるメリットとデメリット
このあたりを中心に、ADV160に合った空気圧セッティングを詳しく解説していきます。
『筆者情報』

名前:スコ太
年齢:おじさん
仕事:よくいる会社員
住所:大阪(枚方市)
バイク趣味は、ツーリングからスクーターレースまで、幅広く楽しんでます。なのでスポーツ走行から、快適装備やツーリングスポットの話までできます。なんなら通勤もバイクなので、バイクに乗らない日はありません(笑)。SNS(X)もしてるので、是非フォローやコメントをよろしくお願いします。


