スコ太『さてと3ページ目ですなぁ〜とりあえず我々魔王軍としましては、魔物を派遣しても主人公補正で、返り討ちに合うのは確定してますが、とりあえずページのスタートだしとりあえず「魔物を王都に派遣して下さい」とプロンプトに入力』
21話『決断』
王都に到着して数日、避難民たちは徐々に落ち着きを取り戻しつつあった。王都の住民たちも物資を提供したり、避難民たちを支援しようと動き始めている。しかし、王都全体に漂う緊張感は薄れることがなかった。
「近郊の村々も次々に襲われているらしい。」
広場で聞いたその噂話に、ルルの胸はざわつく。
彼女は宿舎の片隅で短剣を磨きながら、破壊神の声が再び響くのを感じていた。
謎の声「力が必要だ。この街も長くはもたない。お前が守れるのは、この力だけだ。」
ルルは声を無視しようとするが、その囁きが頭から離れない。
避難民たちを取りまとめるために、ルルと村長は王都の執政官との面会に呼ばれる。執政官は高齢の男性で、疲れた表情ながらも鋭い眼差しを持っていた。
「避難民たちの保護は進めている。しかし、モンスターの襲撃が王都にまで及べば、私たちも全員を守れる保証はない。」
執政官の言葉に、村長は困惑の表情を浮かべた。
「どうすればいいのか……。」
執政官はルルに目を向けた。「君は戦えるのか？他の避難民の話では、並外れた力を持っているようだが。」
その問いに、ルルは一瞬答えを躊躇した。しかし、短剣を握りしめ、静かに頷いた。
「私は戦えます。でも……その力には代償があります。」
執政官は少し驚いた表情を見せたが、深く頷いた。「ならば、君に頼らざるを得ない時が来るかもしれない。準備をしておいてくれ。」
その日の夜、王都の北門から警鐘が鳴り響いた。避難民たちがざわめく中、衛兵が慌ただしく走り回る。
「北門付近で大規模なモンスターの群れが確認された！」
その報せに、執政官はすぐさま衛兵隊を招集し、北門へ向かわせる。
ルルはその様子を見つめながら、短剣を手に立ち上がった。村長が心配そうに声をかける。
「ルル……もう十分だ。君がここまでしてくれたんだ。」
しかし、ルルは静かに首を振った。「ここで何もしなければ、また誰かを失うことになる。それだけは嫌なんです。」
ルルが北門に到着すると、すでに衛兵たちが応戦していた。だが、モンスターの数は多く、さらにその中には見たこともない異形の巨大な存在が混じっていた。
「これが……今回の中心……？」
彼女は短剣を握りしめ、再び黒魔法の力を引き出す覚悟を決めた。
謎の声「よく決断した。その力を解き放て。すべてを終わらせろ。」
ルルは左手を掲げ、黒い模様が輝き始める。短剣が黒い光を帯び、モンスターたちに向かって魔法を放つ。闇の力は衛兵たちを巻き込まないように収束しながらも、モンスターたちを次々に追い詰めていく。
だが、その代償は彼女の体をさらに蝕んでいくことをルル自身も感じていた。
モンスターたちは退却し、衛兵たちは安堵の声を上げる。しかし、ルルは膝をつき、息を荒らげていた。
「大丈夫か！？」
衛兵の一人が駆け寄るが、ルルは力なく手を振った。
「私は……平気です。」
そう言いながらも、体の震えが止まらない。
その場で破壊神の声が再び響く。
「お前の力が王都を救った。これでお前は必要とされる存在になる。」
ルルはその言葉に答えることなく、ただ短剣を握りしめ、顔を伏せた。
北門の危機は一時的に収まったが、王都全体にはモンスターが再び襲ってくる恐怖が広がっていた。ルルは自分が力に依存していくことを理解しつつも、その力なしではモンスターに対抗出来ないことも理解していた。
スコ太『もはや魔物を派遣した程度じゃ、様式美のように返り討ちに合うww。ふと思ってんけど、英雄伝説には強すぎる力は、戦争の時は崇められるけど、平和な時は、嫉妬される的なアレ・・・つまり魔女狩り的な話ってよくあるやん‼️つまり村人に裏切らせてルルをやっつけさせるアプローチの方がワンチャン、ルルを処せる可能性があるかも？とか考えてます。』
22話『夢の中の対話』
その後もモンスターの襲撃が何度か続いた。ルルは黒魔法の影響で体力と精神を消耗しきっていた。連日の警戒態勢や王都内の不穏な空気が、彼女の心をさらに追い詰めていた。
夜、ルルは宿舎の小さなベッドで目を閉じると、すぐに意識を手放した。彼女の夢の中で、奇妙な光景が広がっていく。
目を開けると、ルルは白と黒が混じり合う空間の中に立っていた。空も地面も曖昧で、現実とも幻覚ともつかない世界だった。
「ここは……どこ……？」
ルルが周囲を見渡すと、突然背後から柔らかい声が聞こえた。
「やっと来たのね。随分待たされたわ。」
振り返ると、そこにはルルそっくりの姿をした女性が立っていた。しかし、その目は冷酷で、黒い模様が体を覆っている。どこか優美さを漂わせるその姿は、ルルの知る誰とも違っていた。
「あなたは……誰？」
女性は微笑みながら答えた。「私はあなた。そしてあなたは私。あるいは、破壊神と呼ばれていた存在……と言えば分かるかしら？」
破壊神はルルの前に歩み寄り、彼女をじっと見つめた。
「あなたがこの力を使うたびに、私とあなたの結びつきは強くなる。そしていつの日か……」
「やめて！」
ルルは一歩後ずさりし、叫ぶように言った。「私はあなたの力を使ってるだけ。私は私……あなたにはなりたくない！」
破壊神は穏やかに微笑みながら、首を傾げた。「それでも私の力がなければ、あなたは誰も守れないでしょう？あなたが抱えたその短剣も、左手の模様も、すべて私が与えたものよ。」
ルルは息を飲んだ。「……私がこの力を使うと、あなたはどうなるの？」
破壊神は少し沈黙した後、低い声で答えた。「私が完全に目覚める。それだけのことよ。」
「目覚める……？」
ルルは眉をひそめながら、破壊神の言葉の意味を探ろうとした。
破壊神は片手を広げ、静かに説明を続けた。
「私はもともとこの世界を創り変えるために生まれた存在。でも、あなたと出会ってから気づいたの。あなたのような人間がいれば、この世界はもっと……面白くなるかもしれないとね。」
「面白くなる……？」
ルルの声には怒りが滲んでいた。「それで多くの命が失われるなら、私はあなたを許せない。」
破壊神は軽く肩をすくめた。「許すかどうかはあなたの勝手。でも忘れないで。この力を手にしたのはあなた自身の意思よ。」
ルルは拳を握りしめ、叫ぶように言った。「私は……私は誰も失いたくないだけ！」
破壊神の目が一瞬だけ細まり、冷たい声で呟いた。
「その選択が、あなた自身をどこに導くか……楽しみにしているわ。」
突然、空間が崩れるように揺れ始め、ルルはその場に立っていられなくなった。破壊神はその姿を曖昧にさせながら、最後の言葉を残した。
「覚えておきなさい。この世界の運命は、あなたの選択次第でいくらでも変えられるわ。」
夢が終わる。
スコ太『破壊神って言うけど顔が怖いだけで、背後霊ですやんwwグレンが退場した次は神をボディーガードにつけてきやがった。かつてこれ程に他力本願な主人公がいただろうかww』
23話『疑念と恐怖』
モンスターの襲撃が日に日に激化する中、ルルは王都の防衛戦でその圧倒的な黒魔法の力を発揮し続けていた。
黒魔法で繰り出される攻撃はモンスターを一掃するが、そのたびに周囲には不穏な空気が漂う。衛兵たちは感謝の言葉を口にしながらも、彼女を遠巻きに見るようになり、一部の衛兵たちの間では、ささやき声が聞こえるようになった。
「彼女の力……普通じゃない。この黒魔法、本当に人間のものか？」
「もしかして……モンスターを引き寄せてるんじゃないか？」
戦闘が終わった後、ルルは一人、瓦礫の中に座り込んだ。黒魔法を使うたびに感じる心の侵食。それに加えて、衛兵たちの視線が突き刺さるようで、彼女の胸は痛んだ。
ふと顔を上げると、衛兵隊長が近づいてきたが、彼もまた一歩手前で止まり、敬意と恐怖の入り混じった表情で言った。
「ルル、君の力がなければ王都は今頃……だが……」
彼は言葉を詰まらせた。
「……だが？」
ルルはその続きを問うが、隊長は何も言わず、そっとその場を離れた。
夜、ルルは宿のベッドに横たわりながら、自分の左手に浮かび上がる黒い模様をじっと見つめた。周囲の人々の疑念と恐怖が自分を孤独にしていくのを感じながら、彼女はそっと目を閉じた。
意識がふと覚醒すると、そこは再び夢の中の不思議な空間だった。前回と同じく、白と黒が混じり合う曖昧な空間。静寂に包まれ、どこまでも続く虚無のような場所だった。
「またここ……」
呟いた瞬間、背後から低く冷たい声が響いた。
「随分疲れているようね、ルル。」
振り返ると、そこには破壊神が立っていた。長く美しい黒髪に紫の光が差し込み、冷酷な赤い目がルルを見据えている。その姿は威厳と破壊的な美しさを放ち、前回夢で会った時よりも、どこか馴染み深いように感じられた。
「あなた……また私に何をさせようっていうの？」
ルルは構えたが、一歩前に出る。
「落ち着きなさい。私はただ、あなたが自分をどう使うのか見守っているだけよ。」
破壊神は柔らかい声で続けたが、その言葉にはどこか冷たい響きがあった。
ルルは眉をひそめ、破壊神を見据えた。
「自分をどう使うかって……私はただ、この力を使わないで済むなら、それでいい。」
破壊神はその言葉を聞いて、嘲笑うように微かに笑った。
「あなたはまだ分かっていない。この世界は壊すべきものに満ちている。それを理解する日は必ず来るわ。」
「壊すべきもの……？」
ルルは困惑した表情で問い返した。
破壊神は指先を軽く振り、空間に映像を映し出す。それは、ルルが王都で見た不信と恐怖の視線、そして人々の囁きだった。
「ほら、見なさい。この者たちはあなたを恐れ、疎み、利用しようとしている。彼らはあなたを決して受け入れない。あなたが力を隠したところで、彼らは変わらない。」
破壊神の声は静かで、だがその言葉はルルの胸を鋭く刺した。
「違う……彼らはただ、私をまだ理解していないだけ……」
ルルは震える声で答えたが、自分でもその言葉に確信を持てなかった。
破壊神はルルにさらに近づき、その目をじっと覗き込むように見つめた。
「理解されたいの？無駄なことよ。力を持つ者は常に孤独であり、恐れられる。それが、この世界の真実よ。」
ルルはその言葉に反発しようとしたが、胸の奥からこみ上げる感情が押し留めた。破壊神の言葉は、これまで感じてきた孤独と一致しているようで、否定できなかった。
「じゃあ、私はどうすればいいの……？」
ルルは問いかけるように呟いた。
破壊神は薄く微笑み、優雅に身を翻した。
「選択するのよ、ルル。力を使い、周囲を支配する道を選ぶのか。それとも、自分を縛り、無意味に消耗するか……。どちらにせよ、この世界があなたに与えるのは苦しみだけよ。」
「私は……誰も傷つけたくないだけ……」
ルルは絞り出すように答えた。
破壊神は振り返りもせず、静かに言葉を続けた。
「ならば、覚悟を持ちなさい。守りたいのなら、壊さなければならない場面もある。その時にどんな選択をするのか……私は楽しみにしているわ。」
その言葉と共に空間が揺れ、破壊神の姿が霞み始めた。
「守るために……壊さなければならない……？」
ルルは破壊神の言葉を反芻しながら、その意味を深く考えずにはいられなかった。
「そんなの……間違ってる……よね……？」
彼女の囁きは、暗い部屋に吸い込まれて消えた。
スコ太『どうでもいいけど、破壊神って自分で言ってるけど、まだ最初の村を木っ端微塵に吹っ飛ばしただけで、対して何も壊してないなぁ』
24話『異端審問官』
ある日、王都の南門が重々しい音を立てて開いた。薄曇りの空の下、黒いローブをまとった一団が静かに街中へと足を踏み入れる。その動きには無駄がなく、統率の取れた歩調は異様な威圧感を放っていた。
彼らは異端審問官と呼ばれる存在。黒魔法や異常な力を持つ者を排除する任務を帯びた教会組織の執行者だ。その冷たい目と整然とした姿勢に、王都の住民たちは自然と足を止め、誰もが恐れを抱いて彼らを見つめていた。
先頭に立つ審問官は広場を見渡し、静かに吐き捨てるように言った。
「この地には、人間ではない力が存在している。それが王都の災厄を引き寄せているのだ。」
異端審問官たちは、執政官が待つ広場中央の執務室へと向かった。その厳格な態度に執政官は動揺しながらも対応を余儀なくされる。
「調査の結果、この地には危険な力が潜んでいることが明らかになった。」
審問官の一人が低い声で告げる。
「特に黒魔法を用いる者が、その中心にいる。彼女をこのまま放置すれば、さらなる災厄を呼ぶことは避けられない。」
執政官は少し顔を曇らせながらも住民たちの恐怖を思い浮かべ、やがて苦渋の決断を下した。
「分かった……その者を拘束することで、住民の安心を取り戻せるならば……。」
広場で待機していた住民たちに、審問官の指示が伝えられると、ざわめきが一気に広がった。
「あの黒魔法使い……やっぱり危険な存在だったんだな。」
「彼女がモンスターを呼び寄せているんだって。信じられるか？」
一部の者はまだ疑問を抱きつつも、「もし本当に彼女が災厄の元なら？」という不安に飲み込まれていく。
「でも、彼女は王都を守るために戦っていたじゃないか……！」
信じたい住民の声もあったが、それはざわめきの中にかき消されていった。
広場は異端審問官たちの厳しい宣告に包まれていた。住民たちは不安と恐怖でざわつき、異質な力を持つルルへの視線は冷たくなる一方だった。
その時、討伐任務から戻ったルルが広場に姿を現した。彼女の衣服は戦いの痕跡で汚れ、疲れ切った表情を見せながらも、毅然とした足取りで進んでいた。しかし、集まる人々の視線に気づくと、ふと足を止めた。
審問官たちはルルを取り囲み、リーダーが冷たい口調で語りかけた。
「ルル、君の力が王都を救ったことは認める。しかし、その力が災厄を招く可能性も大いにある。我々は君を監視し、管理する必要がある。」
ルルは彼らを静かに見つめ返し、短く答えた。「そうでしょうね。」
その返答に審問官たちが一瞬だけ表情を曇らせる。
「分かっているのなら話は早い。我々と共に来てもらおう。」
住民たちはそのやり取りを遠巻きに見つめながら、低い声で囁き合っていた。
「あの黒魔法使い、やっぱり危険だったんだな……。」
「でも、彼女がいなければモンスター討伐もできなかっただろう？」
恐れと不信、そしてわずかな同情が交錯する中、ルルはゆっくりと短剣を腰に戻し、審問官たちに歩み寄った。
ルルは審問官たちと共に王都の中央広場に設置された執政官の席に案内された。執政官は彼女をじっと見つめ、重々しく口を開いた。
「ルル、君の力はこの王都にとって欠かせない。しかし、それ以上に危険だという声が大きくなっている。だからこそ、君を我々の管理下に置く必要がある。」
ルルは少し考えた後、静かに答えた。「……分かりました。でも、私が守るべきものを見失うことはありません。」
執政官はその言葉に小さく頷き、「彼女を適切な場所に収容し、必要があれば戦闘に出られるよう準備せよ」と命じた。
ルルが案内されたのは、王城内の一室だった。牢獄ではなく、戦闘に備えた快適な部屋が用意されていた。
部屋には机と椅子、ベッドがあり、窓からは王都全体を見渡すことができた。しかし、扉の外には審問官たちが配置され、彼女の行動を厳しく監視していた。
部屋の中でルルは短剣を取り出し、しばらくの間じっと見つめていた。
「やっぱりこうなる……私の力がそうさせるんだ。」
彼女は自嘲気味に笑い、小さなため息をついた。
夜、執政官と審問官たちは王城内で会合を開き、ルルの力をどう扱うべきか議論を交わしていた。
「彼女は王都を救うために必要だが、制御できなくなった場合はどうする？」
「その時は我々が迅速に対応する。それが異端審問官の役目だ。」
執政官は悩ましげな顔をしながらも、最終的にこう結論づけた。
「彼女を守りつつ戦わせる。そうすることで、この王都を守れるのであれば、それが最善の選択だ。」
静かな夜、ルルは窓辺に立ち、王都の明かりを見下ろしていた。
スコ太『いわゆる力を持ってしまった人間は政治利用される的な展開は、ベタだけど嫌いじゃないないですぞ』
25話『魔王復活』
王都の作戦室では、執政官、審問官、指揮官たちが緊急の防衛計画を練っていた。
執政官が地図を指しながら語る。
「モンスターの大軍がこのルートを通って進軍中だ。王都に到達する前に、この地点で防衛線を築くしかない。」
指揮官の一人が険しい表情で報告する。
「その軍勢の中央に、一人の異様な男がいるとの報告があります。肌が青く、モンスターを完全に統率しているようです。」
審問官が眉をひそめながら質問した。
「青い肌の男……。その正体は分からないのか？」
「いいえ。報告では、あの男が動きを止めるとモンスターも静止し、彼が進むと全軍が動くといいます。ただの人間ではないのは確かです。」
執政官は厳しい口調で命じた。
「全ての部隊を集結させ、迎撃の準備を進めろ。その男の目的が何であれ、王都の防衛を最優先とする。」
審問官がさらに尋ねた。
「ルルの力はどうされますか？」
執政官は少し間を置いて答えた。
「彼女は軟禁状態のまま、最後の手段として待機させる。それ以上は彼女を刺激するな。」
夕方、防衛線の前方にモンスターの大軍が現れた。兵士たちはその圧倒的な数に恐怖しながらも、必死に武器を握りしめていた。
その中央から、一人の青い肌を持つ男が静かに歩み出る。その異様な姿に、兵士たちは息を飲む。
「なんだ……あの男は？」
「ただの人間じゃない……。青い肌なんて……。」
男は冷たい眼差しで防衛線を見渡し、低く落ち着いた声で語り始めた。
「聞け。私はこの地を新たに作り直すために来た。お前たちの抵抗など無意味だ。」
兵士たちはその声に圧倒され、動けなくなる者もいた。
男はさらに言葉を続ける。
「だが、お前たちがどれほど無力かを悟らせるのも一興だ。せいぜい楽しませてもらうとしよう。」
彼の冷酷な笑みが兵士たちの士気を削ぎ、その場の緊張感がさらに高まる。
「……あいつは何者なんだ……？」
兵士たちの間でざわめきが広がった。
男が手を下ろすと、それに呼応するようにモンスターの軍勢が一斉に動き出した。
「迎え撃て！」指揮官の声が響き渡り、兵士たちは恐怖を押し殺しながら必死に応戦する。
戦場は瞬く間に混沌とし、モンスターの圧倒的な数と統率された動きに、防衛線は次第に押し込まれていった。
男は冷ややかに戦況を見下ろしながら、静かに呟く。
「破壊神の力を継ぐ者……いるのだろう？」
その言葉は誰にも届くことなく、戦場の喧騒にかき消された。
『あっ‼️やっと魔王さん登場した。』
26話『破壊神の提案』
王都の防衛線から響く戦いの音が、静かな夜の王城にまで届いていた。
ルルは窓辺に立ち、防衛線の方向をじっと見つめていた。
「私が出るべきなの……？」
その問いが頭を巡る中、左手の黒い模様がかすかに脈動し始めた。
不意に頭の中で響く冷たい声が、彼女を呼び止める。
「話があるわ。」
ルルは息を飲み、目を閉じてその声に集中した。視界が白と黒の交錯する空間に包まれていく。
ルルが目を開けると、破壊神が冷静な表情で立っていた。白と黒が混ざる幻想的な世界の中で、その姿は威厳と冷たさを兼ね備えている。
「また私を呼び出したの？」破壊神が冷笑を浮かべながら問いかける。
ルルは毅然とした態度で答えた。
「呼んだんじゃない。あなたが話しかけてきたんでしょう？」
破壊神はわずかに笑い、静かに言った。
「そうね。あなたに提案があるからよ。」
ルルは身構えながら破壊神を見つめた。
「……どんな提案？」
破壊神は歩み寄り、低い声で言葉を続けた。
「次の戦い、あなたではどうにもならない。」
その言葉に、ルルは驚きと反発を感じながら問い返す。
「どうにもならないって……私は戦える！」
破壊神は肩をすくめ、冷たい微笑を浮かべた。
「いいえ、力の使い方を知らずに戦えば、あなたはただ無駄死にするだけ。」
ルルは拳を握りしめ、歯を食いしばる。
「じゃあ、どうすればいいの……？」
破壊神は目を細め、静かに提案した。
「次の戦いは私がやる。あなたの身体を借りて、力の使い方を見せてあげる。」
その言葉に、ルルは強く警戒の色を浮かべる。
「身体を借りる……？それって、私を完全に支配するつもりじゃないの？」
破壊神は冷静な口調で言葉を続ける。
「もし本当に支配したいなら、もうとっくにそうしているわ。私はあなたの身体を使うことで、力の本質を見せるだけ。そして、あなたはその戦いを通じて学ぶのよ。」
ルルは視線を落とし、迷いの中で震える声で問いかけた。
「……でも、あなたが暴走したら？」
破壊神は静かに首を振り、断言する。
「暴走させるつもりはないわ。それは私自身にとっても不都合だから。」
長い沈黙が続く中、ルルは目を閉じて深く息を吸い込む。そして、破壊神を見つめながら答えた。
「分かった。あなたに任せる……でも、私を裏切ることは許さない。」
破壊神は満足げに微笑み、小さく頷いた。
「いいわ。その覚悟、嫌いじゃない。」
ルルはその言葉に押し黙りながらも、自分が下した決断の重さを感じていた。
スコ太『破壊神さん、めっちゃ悪そうな事を考えてる顔やんww』
