『ドクタープーリーに戻る』
本日はスクーターのセンタースプリングの解説をしようと思います。
『センタースプリングの役割』
センタースプリングの役割は大きく2つあります。
1『ドリブンフェイスを介してVベルトを挟む役割』
単純にセンタースプリングの圧力でVベルトが滑らないようにしてる事は感覚的にわかるとおもいます。ドリブンフェイスにスプリングが無ければVベルトは空転します。
そしてドリブンフェイスは常に閉じる方向に力が掛かっているので、ドライブフェイス側からVベルトを引っ張る力が働き、ドライブ側もVベルトが圧着されて駆動力が伝わるって仕組みです。
正直、言葉よりイラストを何度も見たほうが理解が進むと思われます。
2『ハイギアになったギアを再びローギアへ押し戻す』
開いたドリブンフェイスをセンタースプリングの力で閉じます。
スクータの変速回転数は、『ウエイトローラーの遠心力』VS『センタースプリングの反発力』の綱引きで決まります。
『デメリット』
よく社外品で5%強化スプリングや凄いものだと20%強化スプリング等と謳っているスプリングがありますが、センタースプリングは基本的にVベルトを挟みグリップさせる事が主目的なので、必要以上に硬い物を装着すると単純に抵抗になりパワーをロスします。最高速は顕著に遅くなります。また強化スプリングは各パーツの摩耗が早まります(特にVベルト)。
(補足)
駆動系を何も変更せずにセンタースプリングのみを強化すると変速回転数が上がりエンジンのパワーバンドで変速するようになるのでパワーアップしますが、先にウエイトローラーを軽くして変速回転をパワーバンドに調整したほうが駆動ロスが最小限になるので速いですよ。
『センタースプリング強化したほうがよいケース』
センタースプリングのデメリットを先に解説しましたが、機能を理解したうえで適切に強化すれば効果がありますよ。
ボアアップした車体
ボアアップのような大幅にパワーが上がる改造をした場合、Vベルトの挟み込む力が不足してVベルトのスリップ率が増えるので、強化スプリングが必要です。
たとえば元の排気量から50%くらいのボアアップ(125cc→180cc)をした場合、3%〜5%くらいの強化スプリングが必要です。
更にハイカムやDOHC化等で高回転高出力化されノーマルから倍くらいのパワーが出てる車体だと7%〜12%くらいのスプリングを検討してみると良いと思います。
ウエイトローラが軽すぎる場合
変速回転数を上げるために最初に変更するのはウエイトローラーです。しかしウエイトローラーはノーマルの重さから60%以下にしたくらいから、ドライブプーリー側でVベルトのスリップ率が増えてきます。
なので次の手段のトルクカム変更かシム調整をすれば駆動ロスを最小限に変速回転を上げれます。
それでも変速回転数が足りない場合、最後の手段でセンタースプリングで回転数を調整するのはアリです。
ウイリーしたい人(笑)
センタースプリングを強化すると極低速のローギアで粘る変速特性になります。こうなるとミッション車の様に、駆動力がエンジンからタイヤにダイレクトに伝わってるようなフィーリングになります。ウエイトローラー調整ではこのフィーリングはだせません。なのでパフォーマンス系の人ならノーマルエンジンでも20%強化スプリングもありかと思いますよ。
ゼロヨンな人(笑)
通勤の朝
いつもの信号機、となりにはいつものアドレスV125が
そして信号機が赤から青に変わる瞬間
負けられない戦いが始まった
ってことでスタートダッシュのみに特化するならセンタースプリング強化は有効ですよ。
アクセルレスポンスのみが欲しい人
無駄にセンタースプリングを強化すれば、トータル性能は確実に遅くなりますが、アクセルに対してとエンジン回転数が敏感になります。
トルクカムのカム溝の変更でもレスポンス向上は可能ですが、それでも足りない場合は強化センタースプリングの導入を検討してもいいと思うよ。
強化が必要ない車体
センタースプリングは、メーカー純正のノーマルでもエンジン出力に対して強力な物が付いてる事がほとんどです。10万キロ使い込んだヘタリきったスプリングを入れた方が、速くなるケースが多いくらいです。よってノーマル車〜軽い改造車(吸排気とかECU)くらいなら、基本的に変更の必要はないです。
『筆者情報』
名前:スコ太
年齢:おじさん
仕事:よくいる会社員
住所:大阪(枚方市)
バイク趣味は、ツーリングからスクーターレースまで、幅広く楽しんでます。なのでスポーツ走行から、快適装備やツーリングスポットの話までできます。なんなら通勤もバイクなので、バイクに乗らない日はありません(笑)。SNS(X)もしてるので、是非フォローやコメントをよろしくお願いします。