『ドクタープーリー解説に戻る』
スクーター改造パーツの定番であるハイスピードプーリーですが、実は「最高速」と「スタートダッシュ」以外は全ての性能が落ちるって話をします。
『ハイスピードプーリーデメリットまとめ』

デメリットを列挙するまえに一言ですが、僕はハイスピードプーリーは『見た目のカッコよさ』と『改造をしてやった感』があって結構すきなんですよ。特に見た目は意匠が凝ったものが多く、見てるだけでも楽しめるので家のショーケースに飾ってます。
そんなハイスピードプーリー愛好家の筆者だからわかる、ハイスピードプーリの代表的なデメリットを3個ほど解説していきます。
部品消耗が激しい

基本的にハイスピードプーリーは、変速幅を広くする為フェイス面の角度を純正のプーリーより立たせている物がほとんどです。15度で設計されたVベルトに14度のフェイスを付けるわけですから、互いのパーツの接触面積が減り、摩擦と発熱で猛烈に消耗していくのは容易に想像ができますね。

ハイスピードプーリーで5000km走行後のVベルトの写真です。もういつ切れてもおかしくないです。
中間加速が遅い

フェイス面の角度の変更で駆動ロスがノーマルプーリーより多くなり中間加速が悪くなります。エンジンパワーが足りない場合は最高速も落ちます。本末転倒である。
再加速のレスポンスが悪い

ローラーガイドがワイドで緩やかになった分シフトダウンがスムーズに行われず再加速のレスポンスが落ちます。
これを解決する為にセンタースプリングを強化をすると、駆動ロスが増えます。
何故、ハイスピードプーリーはデメリットが多いのにフェイス面の角度が立っているのか?

図4のようにプーリーとドライブフェイスが接触すれば、物理的にドライブプーリーが移動できなくなり、それ以上Vベルトを外に押し出せなくなるので変速ができなくなります。これを回避するために社外品のハイスピードプーリーはフェイス面の角度を立ててます。
『ハイスピードプーリーは、どんなスクーターにおすすめ』

前編でハイスピードプーリーの批評をしましたが、性能向上が期待できるケースもあります。
2ストロークエンジン

2ストロークエンジンは、極端にパワーバンドが狭いので変速幅を増やす事でパワーバンドで走れる速度域が広がります。特に高速域の伸びに貢献します。しかし低中速域は性能ダウンします。
余談ですが、ハイスピードプーリーは大昔に2ストエンジンの改造パーツで人気がありました。その時にスクーター改造文化に定着した歴史があります。現在の4ストエンジンには、ハイスピードプーリーはデメリットの方が多く、ミスマッチと言わざるを得ないのですが、それでも愛好家が多いのは性能以上のロマンがあるからだと筆者は思います。
4ストフルチューンエンジン

排気量を上げたりカム形状の改造など、大幅なエンジン改良を行った場合は、それに合わせたプーリーを付けると良い結果が出る場合があります。
ちなみに吸排気程度の改造ならハイスピードプーリーよりドクタープーリーの方が確実に良い結果が出ます。
『ぶっちゃけハイスピードプーリーよりハイギアの方が良い』

ファイナルギアをハイギアにすれば、純正プーリーの良さを残したままワイドレシオになります。
発進時以外はハイギアの方が良い結果が得られます。
ハイギアは社外パーツが少ない理由

単純に汎用性がなく利幅が小さい、そのくせに装着難易度が高くあまり人気がない。
一方ハイスピードプーリーは、汎用性が恐ろしく高く車種どころかYAMAHAとHONDAでボス径など装着に必要な部分だけ付け替えて、車種専用設計と謳ってる製品がほとんどです。装着難易度の低さから人気もあります。
最高速を上げたいユーザーはハイスピードプーリーを好んで買うので、カスタムメーカーとしては、商売的にどう考えてもハイギアなんて作ってられませんよね。
『筆者情報』

名前:スコ太
年齢:おじさん
仕事:よくいる会社員
住所:大阪(枚方市)
バイク趣味は、ツーリングからスクーターレースまで、幅広く楽しんでます。なのでスポーツ走行から、快適装備やツーリングスポットの話までできます。なんなら通勤もバイクなので、バイクに乗らない日はありません(笑)。SNS(X)もしてるので、是非フォローやコメントをよろしくお願いします。


