スクーター改造パーツの定番であるハイスピードプーリーですが、実は「最高速」と「スタートダッシュ」以外は全ての性能が落ちるって話をします。
『ハイスピードプーリーデメリットまとめ』
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部品消耗が激しい
基本的にハイスピードプーリーは、変速幅を広くする為、フェイス面の角度を立たせている物がほとんどです。
15度で設計されたVベルトに14度のフェイスを付けるわけですから、互いのパーツの接触面積が減り、摩擦と発熱で猛烈に消耗していくのは容易に想像ができますね。
ハイスピードプーリーで5000km走行後のVベルトの写真です。もういつ切れてもおかしくないです。
中間加速が遅い
フェイス面の角度の変更で駆動ロスがノーマルプーリーより多くなり中間加速が悪くなります。エンジンパワーが足りない場合、最高速も落ちます。本末転倒である。
再加速のレスポンスが悪い
ローラーガイドがワイドで緩やかになった分シフトダウンがスムーズに行われず再加速のレスポンスが落ちます。
これを解決する為にセンタースプリングを強化をすると、駆動ロスが増えます。
何故、ハイスピードプーリーはデメリットが多いのにフェイス面の角度が立っているのか?
図4のようにプーリーとドライブフェイスが接触すれば、Vベルトを外に押し出せなくなり、それ以上変速ができない為。これをフェイスタッチと呼びます。
ハイスピードプーリーのデメリットのほとんどは、フェイス面が立っている事が原因である事がおおいですね。
『ハイスピードプーリーで性能が上がる車体は?』
2ストロークエンジン
2ストロークエンジンは、極端にパワーバンドが狭いので変速幅を増やす事で、パワーバンドで走れる範囲が広がります。特に高速域の伸びに貢献します。しかし低中速域は性能ダウンします。
余談ですが
ハイスピードプーリーは、大昔に2ストエンジンの改造パーツで人気がありました。その時にスクーター改造文化に定着した歴史があります。
現在の4ストエンジンには、ハイスピードプーリーはデメリットの方が多くミスマッチと言わざるを得ないのですが、過去のスクーター改造文化の名残りで今でも人気パーツとして愛好家が多いです。
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フルチューンエンジン
排気量を上げたりカム形状の改造など、大幅なエンジン改良を行った場合は、それに合わせたプーリーを付けると良い結果が出る場合があります。
吸排気程度の改造ならハイスピードプーリーよりドクタープーリーの方が確実に良い結果が出ますよ。